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『宴のビーナス』(第4夜)

「ほう…」と社長は短く感心したような声を出した。
「綺麗に手入れしてあるようじゃないか」
 意識がハッキリしてきて、その言葉が自分の陰毛のことを指していることに気づいた優子は、カァッと顔を紅(あか)らめた。
 優子は、自分を美しく魅(み)せることに命を賭けている。
 それもこれも愛している“彼氏”のためであることは勿論だが、生来のプライドのためでもある。
 しかし、決して他人に見せることのない陰毛の手入れなど、“彼氏”のため以外にはありえない。
 それを他人に、しかもこんな奴らに見られたうえ、間違いなくこれから汚されるであろう事を想像して、優子は恥ずかしさと恐怖に支配された。
 懸命に足を閉じてみるが、そんなことは気休めにもならない。
「君のソコは、さぞかし綺麗な造りだろうね。何もせずに開いて、じっくり鑑賞してみたい気もするが………、君は痛みに耐えられるようだ。ソコも、どれだけ耐えられるか、ソレを試してみようか」
 社長の言葉を理解できなかった優子の目の前に、大きな木製の台が運ばれてきた。
 三角錐を横に寝かしたようなこの台を優子は“三角木馬”と呼ばれる拷問器具であることを知らなかった。
 知らなかったが、その台の頂点が鋭くとがっているのが分かると、優子は自分がこの台に乗せられることを理解した。
 理解すると同時に、優子はさらに強く足を閉じた。
 そんな優子の期待通りの反応に、社長はニヤニヤと笑いながら、傍らに吊るされたままの綾を見やって言った。
「こちらのお嬢さんは鞭を打っては気絶してしまってね。いちいち起こすのが煩わしいだけで楽しめなかったが、君は楽しませてくれそうで嬉しいよ」
 冗談じゃない。
 綾の全身の傷を見れば、ただ鞭で打ちつけただけではないのが分かる。
 それこそ何十発と打ち込まれたはずだ。
 それも、さっき優子が打たれたのと同じ一本鞭を。
 一本鞭で打たれれば、その鞭先は瞬間的に高速になる。
 見た目よりも打撃力はあるのだ。
 優子が耐えられたのは、単に服の上からだったにすぎない。
 乳房に釘を打たれたのに耐えられたのも、大きな神経が通っていなかっただけのことだ。
 しかし、神経が集中し、触覚的にも敏感な性器を責められたらどうなるか………。
 ガタガタと歯の根が合わなくなってくるのを自覚しながら、優子は脱出する方法を考えた。
 しかし迫り来る恐怖に思考が乱れて考えられない。
 そうこうするうちに、二人の男が優子の両脇に来ていた。
 手には鉄の球のような物を持っている。
 その鉄の球を何に使うのかと思った瞬間に、両手を吊るしている鎖がガラガラと音をたてて優子の身体を持ち上げ始めた。
「ひっ」と短い悲鳴をあげる。
 つま先が木馬の頂点を越えると鎖が止まり、それを待っていた両脇の男がそれぞれ優子の足枷に、手に持っていた鉄球を付けた。
「そんな……、嘘でしょ? やめて………」
 今度ばかりは、優子もしおらしく哀願した。
 こんなことをされてしまっては性器を壊されてしまう。
 そんな優子の哀願を無視して、男の一人が優子の両足の間を繋いでいる鎖の方をはずした。
 そして優子の両足を力ずくで左右に開いた。
 優子の静かな哀願が絶吐に変わった。
「やめてえええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
 その叫びを合図にするかのように、優子を吊るしていた鎖がガラガラと音を立てて落ち始めた。
 一瞬の無重力感。
 次の瞬間の、激痛──────!
「ぐぎゃあああああああああああぁぁぁぁぁ!!!」
 周りの男たちは、ドスッという優子の股間と木馬がぶつかる音を聞き、それに続く優子の獣の叫びのような悲鳴を聞いた。
 しかし、優子は自分が悲鳴をあげたことすら分からなかっただろう。
 全身を走る激痛に痛みを感じるべき脳は麻痺し、硬直した身体は息をつまらせた。
 遅れてきた涙が頬を伝い、優子は正気に戻った。
 戻った途端に鈍い痛みが、絶え間なく優子の性器を責めたてる。
「ううっ。うぐぅ………」と必死に歯をくいしばって痛みに耐えようとするが、それだけが精一杯で哀願することも、憎まれ口をたたくこともできなかった。
 社長は、そんな優子の表情を満足そうに眺めながら言う。
「思ったとおりだ。君なら耐えられると思ったよ」
 今の優子には睨みつけることもできない。
 痛みから逃れようと身をよじればよじるほど、木馬の背が股間に食い込んでくる。
 その痛みに耐えるだけで精一杯だ。
 社長はそんな優子の様子におかまいなしに一人で喋りつづけた。
「しかし、さすがに辛いだろう。どうだね? 素直に吐く気にならんかね?」
 優子は何かを喋ろうとしてうめいた。
 しかし、言葉にならない。
 そんなことは百も承知で社長は続ける。
「そうか、まだ喋りたくないのか。では、もっと責めてあげなければいけないな」
 優子は首を横に振ったが、すでに次の拷問の準備は始められていた。

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